光は電磁波の一種で, 光の色は電磁波の波長.

測光量と放射量

前稿の測光量とは何か?では、放射量は電磁波の数量で、測光量は可視光の数量である、というような話をした。

本稿では、いったん放射量や測光量といった言葉から離れて、光は電磁波の一種であるという話をしていきたい。

光は電磁波の一種

光は電磁波という波の一種である。※正確には波でも粒子でもあるが、ここでそれには触れない。電磁波は実は日常生活の中に結構たくさんある。

  • 電波:携帯電話
  • 赤外線:電子レンジの中
  • 紫外線:日焼け
  • X線:レントゲン

上に挙げた4つの電磁波と、「光」という電磁波の違いは単純に、眼に視えるか視えないかである。視えるか視えないかの違いは、電磁波という波の波長の違いによって起こる。

波長というのは波の数え方で、波1つ分の長さである▼

いろんな電磁波の波長はこんな感じ▼

人間の眼が電磁波を見ようとするとき、その波長が長すぎても短すぎても視ることができない。人間に視る電磁波は波長$360\mathrm{nm}$ ~ $830\mathrm{nm}$とされている。※nmはナノメートル。1ナノメートルは1メートルの10億分の1。

光とは、波長$360\mathrm{nm}$ ~ $830\mathrm{nm}$の電磁波のことをいう。いわば、人間に偶然にも視えてしまった電磁波が「光」と呼ばれるのである。

眼に視える電磁波、いわゆる光は可視光(visible radiation)とも呼ばれる。

光の色は、電磁波の波長

さらに面白いことに、人間の眼は波長の違いを色の違いとして知覚する

波長の長い(ゆったりと振動している)光は赤や橙に視え、波長の短い(小刻みに振動している)光は青や紫に視える。

ちなみに赤外線や紫外線は、

  • 波長が長すぎて、視える限界の赤の外にある電磁波が赤外
  • 波長が短すぎて、視える限界の紫の外にある電磁波が紫外

と考えることができる。このような眼に視えない電磁波は不可視光(invisible radiation)とも呼ばれる。

光は、様々な色を含んでいる

太陽光や照明器具の光は1色にしか視えないが、実は様々な色の光を含む。言い換えれば、様々な波長の光を含んでいる。それがわかる有名な現象といえば、虹であろうと思う。

虹は、大気中に含まれる水滴によって太陽光が分解され、本当は含まれるけれど、いつもは視えない様々な光色が視えてしまう現象だ。様々な光色を含む=様々な波長の光を含むということである。

ある光に含まれる様々な光色が、全て同じパワーということは稀で、ある光色のパワーは強いけれど、別の光色のパワーは弱い、という場合が多い。では、太陽光にはどんな光色がどの程度のパワーで含まれているのか?をみてみる▼

このグラフは非常に大雑把に描いている。

一番多く含むのは青で、赤になるほど少なくなる。紫はあまり含まない。というような雰囲気だが、おおおむね様々な光色を同じくらいの量で含んでいるのが、真昼の太陽光の特徴である。真昼の太陽光は白色に視える。だいたい同じくらいの量の様々な光色が混ざるから、白色になるのである。

電球の光はオレンジ色に視える

では、白熱電球はどうなるのか。白熱電球から発せられる光がオレンジ色に視えるのはなぜか。予想がつくかと思うが、電球から発せられる光色の、色別のパワー配分はこのようになる▼

単純に、赤やオレンジ色の光を多く含むのである。太陽光とは異なり、赤になるほど多く含むようになる、というわかりやすい傾向である。

ところで、なぜ唐突に光を光色ごとに分解し始めたのか、疑問に思った方もいらっしゃるかと思う。実は、光を光色ごとに分解するという作業は、ヒトの光に対する感じ方を考える際に非常に重要なプロセスなのだ。なぜなら、人間の光に対する感じ方は、光色ごとに異なるからである。

よって、上に挙げた大雑把なグラフでは若干具合が悪く、もっと詳細に検討する必要があるのだが、それが分光分布という考え方である。

次稿では分光分布について詳しく解説していく。

コメント

  1. […] 放射量と測光量の関係はこうなります▼※詳しい説明は、何色が一番明るい? ~視感度という考え方~ をご覧ください […]

  2. […] 前稿(放射束 ~電磁波としての光のエネルギーを考える~)では、放射束について見てきました。 […]

  3. […] 放射束 ~電磁波としての光のエネルギーを考える~ […]

  4. […] 光束、光度、照度、輝度など光の強さを表す数値は多くありますが、これらをまとめて測光量と言います。 本稿ではこの測光量というものに関して、あまり深入りしないお話をしていきます。 測光量は物理量ではない 測光量は純粋な物理量… 放射束 ~電磁波としての光のエネルギーを考える~ […]

  5. […] 前稿(放射量と測光量(2) 放射束~電磁波としての光のパワー~)では、放射束について見てきた。放射束は電磁波としての光のパワーであり、人の眼の感じ方を考慮しない数量である。本稿ではこの放射束を人の眼の感じ方に寄せていくための準備として、眼の明るさの感じ方というものについて詳しくみていきたい。 […]

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